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紫外線による肌荒れにご用心!
日焼け止め選びのポイント・肌トラブル別の対策

紫外線による肌荒れにご用心!日焼け止め選びのポイント・肌トラブル別の対策

紫外線を浴びて肌がダメージを受けると、肌荒れが起きることがあります。このほか敏感肌の症状が悪化したり、ニキビができたりと、さまざまな肌トラブルの原因に。紫外線によって起こる肌荒れの種類や、トラブル別の対策、日焼け止め選びのポイントを解説します。

紫外線によって起こる肌荒れ・肌トラブル

紫外線は日焼けをはじめ、さまざまな肌荒れ・肌トラブルをもたらします。代表的な症状は次の通りです。

日焼け(サンバーン・サンタン)

強い紫外線(主にUVB)を浴びると、肌にヒリヒリとした痛みや腫れ、赤みなどの症状(サンバーン)が現れます。これは、軽い火傷を起こしているのと同じ状態です。2~3日で症状は治まっていき、赤みが引くと体の防御反応によってメラニン色素が過剰に生成されて、皮膚に色素沈着が起きます。

色素沈着によって黒っぽくなる日焼け(サンタン)の症状は、数週間から数ヵ月続きます。

敏感肌

角質層 バリア機能が正常な肌 バリア機能が低下した肌

敏感肌は、角質層のバリア機能が低下しているのが特徴です。

肌の最表面にある角質層は、水分を含んだ角質細胞がブロック状に積み重なった構造。これにより肌内部の水分蒸散を防いだり、紫外線や大気中微粒子などの外的刺激をはね返したりして、バリア機能を担っています。

ところが紫外線を繰り返し浴びると、刺激によってターンオーバー(細胞が生まれ変わるサイクル)が乱れがちに。すると水分が少ない未成熟な角質層が形成されて、バリア機能が低下してしまいます。

バリア機能が低下した肌は、紫外線や大気中の微粒子のほか、化粧品成分に過敏に反応することも……。かゆみやほてり、発疹、ヒリヒリする痛みなどの症状が出ることがあります。またアトピー性皮膚炎やアレルギーなどで肌がかぶれている場合は、症状がより悪化する傾向にあります。

ごわつき・ざらつき

角質層 健康な肌 ターンオーバーが乱れた肌

紫外線の刺激によってターンオーバーが乱れると、肌表面に余分な角質が蓄積しやすくなります。厚みを増した角質層は水分が少なく、肌に触れたときのしなやかさが失われ、ごわつきやざらつきを感じることがあります。

ニキビ

紫外線の刺激は皮脂腺の開口部を肥厚させ、皮脂の過剰分泌を招くことがあります。また角質層が厚くなって毛穴をふさぎやすくなるため、毛穴に皮脂が詰まり、ニキビができやすくなります。

さらに紫外線の刺激によって、ニキビの炎症が悪化する可能性もあります。UVAは皮脂を好むアクネ菌やマラセチア菌などを増やす原因になります。すると皮膚常在菌叢(常に皮膚の決まった部位に存在している細菌)のバランスが崩れて、ニキビができやすくなるのです。ニキビがあるときのUVケアは、以下で詳しく解説します。

シミ、シワ、たるみ

紫外線のうちUVAは、光老化(シミ、シワ、たるみ)を引き起こす原因になると言われています。UVAは地表に届く紫外線の約95%を占め、雲や窓ガラスを通して肌の奥まで侵入するのが特徴です。

UVA自体のエネルギーは弱いものの、日焼けのようにすぐに自覚症状が現れないため、いつのまにかシミやシワができていた……ということにもなりかねません。

紫外線の種類についての詳しい解説は「紫外線の種類と肌への影響は?日焼け止めの勘違いあれこれもチェック 」の記事を参考にしてください。

基本の紫外線対策(日焼け止め・日よけ対策)

紫外線による肌荒れを防ぐには、基本のUV対策が欠かせません。紫外線は季節や天候に関わらず振り注ぐため、日焼け止めは毎日塗るのを習慣にしましょう。塗り方のポイントを紹介します。

日焼け止めをしっかり塗る

日焼け止めをしっかり塗る

日焼け止めを塗る前に肌を保湿しておくと、肌となじみやすく、皮脂崩れもしにくくなります。

日焼け止めの効果をしっかり引き出すには、必要な量を塗ることも大切です。クリームタイプや乳液タイプなら、パール2粒分を目安に。パッケージに適量の記載があれば、それを守りましょう。

日焼け止めを手に取ったらおでこ・鼻先・両頬・あごの5か所に置き、顔の内側から外側に向かって少しずつ丁寧になじませます。

より詳しい塗り方のポイントは「日焼け止めは『適量』が大事!効果的な塗り方のポイントと注意点【動画解説付き】 」の記事でチェックしてみましょう。

2~3時間おきに日焼け止めを塗り直す

日焼け止めは時間の経過とともに、汗や皮脂、擦れなどで部分的に落ちてきます。日焼けによる肌ムラを防ぐには、2~3時間おきに塗り直すのがおすすめです。

室内で過ごしていても油断は大敵。たとえ汗をかかなくても、頬杖をついたり鼻を擦ったりと、日常の何気ない動作でも日焼け止めは落ちてしまうためです。特に頬や鼻の上下が落ちやすい部分なので、丁寧に塗りましょう。

日よけ対策をする

日差しの強い夏は日焼け止めとあわせて、日よけ対策を取り入れるのがおすすめです。

<日よけ対策の一例>

  • 日傘やつばの広い帽子を着用する
  • UVカット加工など紫外線を防御できる衣服を着用する
  • 屋外ではなるべく日陰に入る
  • 紫外線が強い午前10時から午後2時は外出を避ける

敏感肌にも使いやすい日焼け止め選びのポイント

肌荒れが起きているときは、肌にやさしい日焼け止めを選びたいですよね。以下のポイントを押えて、刺激になりにくく、かつ高い紫外線カット効果を両立した日焼け止めを選びましょう。

①低刺激設計である

健康な肌なら負担になりにくい成分でも、敏感肌は過剰に反応して、かゆみやつっぱり感が生じることがあります。日焼け止めを選ぶ際は、以下の表示があるかをチェックしてみてください。

  • 敏感肌用
  • 皮膚科学的テスト済み
  • 皮膚科医の協力のもとテスト済み
  • ニキビのもとになりにくい処方
  • アレルギーテスト済み
  • 低刺激設計

ただしこれらの表示がある商品でも、人によっては肌トラブルが起きる可能性もあります。もしも肌に合わないと感じたら、すぐに使用を中止してください。

②保湿成分が配合されている

バリア機能が低下した敏感肌は、うるおいを保つ力が弱まっています。保湿ケアをしても時間が経つと乾燥しやすいので、保湿成分配合の日焼け止めで、うるおいも補うようにしましょう。

③UVAもUVBもカットできる

UV SPF50 SPF UVBを防ぐ 数値が大きいほど 防御効果が長い PA++++ PA UVAを防ぐ +が多いほど 防御効果が高い

紫外線には、日焼けの原因となるUVBと、シミ・シワやたるみの原因となるUVAがあります。そのためUVBもUVAもカットできる日焼け止めを選ぶことが大切です。購入時はSPFとPAの数値を確認してみましょう。

  • SPF:赤くなる日焼け(サンバーン)を起こすUVBの影響を、どの程度防御できるかという目安の数値。SPF50以上の場合は「50+」と表示される
  • PA:シミやシワ・たるみなどの光老化をもたらすUVAの影響を、どの程度防御できるかという目安の数値。PA+からPA++++までの4段階で「+」の数が多いほどUVAを防ぐ効果が高いとされる

これらの数値が高いほど「肌への負担が大きいのでは?」と懸念する人がいるかもしれません。しかし現在は、高いUVカット力と低刺激性を両立した、敏感肌用の日焼け止めが販売されています。

肌荒れ・肌トラブル別│対策のポイント

基本の紫外線対策は、日焼け止めをしっかり塗って日よけ対策をすることです。さらに、肌荒れ・肌トラブルの症状別の対策も取り入れて、肌を健やかに整えましょう。

日焼けした肌の紫外線対策

日焼けした肌の紫外線対策

日焼けをした後は、なるべく早めのアフターケアが肝心です。まずはダメージを受けてデリケートになった肌を落ち着かせるケアを行いつつ、これ以上紫外線の刺激を受けないように日焼け止めと日よけ対策をしてください。

シミやシワは時間が経過してから現れるため、ブライトニングケアを始めるタイミングの見極めもポイントです。

<日焼けした直後>
赤みや痛みがある場合は、冷水や低刺激設計の化粧水を浸したコットンを肌に貼り付けてパックして冷やします。また日焼け後の肌は極度の乾燥状態です。シンプルな保湿ケアが適しているので、洗顔後は化粧水とクリーム(または乳液)で水分と油分をバランスよく補ってください。

<日焼けしてから約1週間経経過>
日焼けしてからしばらく経ったらブライトニングケアを始めましょう。日焼けした肌の奥では、黒っぽくなる日焼け(サンタン)やシミのもとになるメラニン色素が過剰に生成されています。

敏感肌にも使いやすく、保湿効果も期待できるブライトニング成分「ナイアシンアミド」を紹介した「ナイアシンアミドとは?注目すべき理由と美容効果│敏感肌におすすめの成分5選も 」の記事を参考にしてください。

敏感肌の紫外線対策

まずは日焼け止めやスキンケアを敏感肌用のものに切り替えます。製品の表示に「敏感肌用」「アレルギーテスト済み」「皮膚科医協力のもとテスト済み」などがあるかチェックしてみてください。

敏感肌の症状をやわらげ、バリア機能が低下した肌を整えるには「肌を乾燥させない」「肌に刺激を与えない」ことが大切です。洗顔はよく泡立てて肌を擦らないようソフトタッチで洗って摩擦を防ぎ、スキンケアでは保湿を重視します。日焼け肌と同様に、敏感肌も化粧水とクリームでシンプルなケアを心がけましょう。

ごわつき・ざらつき肌の紫外線対策

先述した基本の紫外線対策を行いつつ、余分な角質のケアを取り入れます。厚くなった角質は、通常の洗顔では落としきれないことがありますが、だからといってゴシゴシ擦るのは禁物。ピーリング成分(角質柔軟成分)配合の美容液は、厚くなった角質層を柔らかくして、自然に落としやすくする効果があります。

ニキビ肌の紫外線対策

ニキビがあると日焼け止めを塗るのを躊躇するかもしれませんが、それは逆効果です。紫外線は肌を刺激するため、ニキビの炎症を悪化させ、さらに炎症後に色素沈着することがあります。ニキビのもとになりにくい「ノンコメドジェニックテスト済み」の日焼け止めを選ぶとよいでしょう。

またニキビがあると保湿ケアにも消極的になりがちですが、肌が乾燥していると紫外線の影響を受けやすくなるので保湿も大事です。乳液やクリームなどは、ニキビがある部分を避けて塗ってください。

シミ・シワ・たるみ肌の紫外線対策

先述した基本の紫外線対策を行いつつ、肌悩みに応じたエイジングケア美容液も取り入れましょう。おすすめの成分は、敏感肌にも使いやすくシミ予防やシワ改善に効果があるナイアシンアミドです。細胞間脂質の産生を促すので、角質層のバリア機能をサポートする働きも期待できます。

毎日の紫外線対策で肌荒れを防ごう

紫外線は肌荒れやニキビなどを引き起こし、時間の経過とともに日焼けやシミ、シワ、たるみの原因に。1年中日焼け止めを塗って対策しましょう。紫外線によって肌がダメージを受けているときは、敏感肌用の日焼け止めやスキンケア製品を選ぶことも大切です。症状別の紫外線対策も取り入れてみてください。

名古屋市立大学 大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科 教授
森田 明理先生

医学博士。1989年名古屋市立大学医学部卒業後、1994年名古屋市立大学医学研究科博士課程修了。愛知県がんセンター研究所免疫部、独デュッセルドルフ大学皮膚科(独フンボルト財団奨学研究員)、米テキサス大学サウスウエスターンメディカルセンターを経て2003年より現職。2015年〜名古屋市立大学病院副病院長。2021年〜名古屋市立大学 学長補佐。

森田 明理先生
森田 明理先生

名古屋市立大学 大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科 教授
森田 明理先生

医学博士。1989年名古屋市立大学医学部卒業後、1994年名古屋市立大学医学研究科博士課程修了。愛知県がんセンター研究所免疫部、独デュッセルドルフ大学皮膚科(独フンボルト財団奨学研究員)、米テキサス大学サウスウエスターンメディカルセンターを経て2003年より現職。2015年〜名古屋市立大学病院副病院長。2021年〜名古屋市立大学 学長補佐。

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